top of page
6-(6)-① 広浦
▲広浦の南西部(運河合流点)
​▲閖上漁港

<成立過程>


・広浦地域の明治末期から近年までの地形の変遷は、「井土浦地域」で紹介する図のとおりである。

・明治40年の地形図を見ると、現在の河口より南側の広浦の中ほどに海側への開口部が確認できる。閖上風土記を見ても、「大正の初期までに名取川の河口は広浦の南端にあった。」との記述があり、概ね一致する。

・昭和3年の地形図によると、名取川の河口は井土浦を700mほど北上したところで海側に開口しており、井土浦と広浦が一つながりになって名取川を柄にしてT字型に広がっていた。現在河口となっている位置は砂浜がつながっており、河口は常に移動していた。

・昭和19年の地形図では、名取川河口は現在の位置に開口しているが、その他に大きな変化はない。

・昭和43年の地形図では、閖上漁港の岸壁や名取川河口の導流堤が整備されて、ほぼ現在の地形となっている。

・昭和57年の地形図では、広浦東岸にサイクルスポーツセンターが整備されている。
・この間、広浦南部の地形は河口の位置を除いてほとんど変化していないが、広浦北部については、戦後一部で埋立てが行われ、漁港や市街地が整備されるなど、
大きな変化を遂げている。

 

 

<自然環境の特徴>


・北側には閖上漁港、サイクルスポーツセンター、福祉施設等が整備され、人為改変が進んでいる。

・潟湖南側については、海側に幅300mのマツ林と砂浜植物群落が発達し、広浦の岸辺にはヨシ原も良く発達しているなど自然環境が良好に保たれている。潟湖としての規模も大きい。また貞山堀西側にも良好な自然環境を有する地域が広がっている。

・植物版レッドリスト絶滅危惧Ⅱ類で当地域が北限のハマサジの自生地である。
・広浦の中央部に出現する干潟には、シギ・チドリ類が飛来する。また、冬期にはカモ類の飛来も見られる。

・井土浦と同様に魚類の種数が比較的多く、潟湖定住魚のほかに外洋魚の出現する割合が高い。特に、スズキ、クロダイ、イシガレイ、コチ等の幼・稚魚が出現しており、外海の漁業との関わりで重要である。

・潟湖北側については、自然環境の改変が進んでいる。また、車両が広浦橋を利用して海岸近くまで乗り入れ、釣りやサーフィン等の活動が盛んな地域となっている。

 


<景観上の特徴>


・典型的な潟湖の景観を示し、海岸の改変によって自然性が低減しているものの、広い湖面と南西部のヨシ原など、原風景の面影をまだ十分に残している地域である。

 


<地域指定等の状況>


・仙台湾海浜県自然環境保全地域
・保安林(一部)

・特定植物群落(仙台湾沿岸の海岸林)
・特定植物群落(仙台湾沿岸の砂浜植物群落)


                           出典:『仙台湾海浜地域保全の進め方』 平成12年3月 宮城県

                           閖上漁港(画像)=『宮城の漁港』 平成16年3月 宮城県 

 

                                                 

bottom of page